オバマ大統領「子どもとスポーツの安全サミット」抄訳

ホワイトハウスでのオバマ大統領による「子どもとスポーツの安全サミット」ABCニュース映像(2005/29/2014)の抄訳を掲載いたします。
動画は以下よりご参照ください。
http://abcnews.go.com/Politics/video/president-obama-delivers-remarks-kids-safe-sports-23913511

ーー抄訳ーー
・はじめに高校やクラブでサッカー選手だった女の子Victoria Belluci が、自分の体験した5回の脳震とうについて話した。
4歳からサッカーを始め、州大会でチームが三度優勝し、個人でも賞をもらった。高校生のとき数年間で5回脳震とうを起こしたが、運動を続けた。その後 頭痛が続き、フィールドや教室で倒れ、学校で時間割や課題を忘れることが多くなった。サッカーの奨学金が受けられる大学には行かないことにした。「脳震とうは私の人生を大きく変えた。」
(ABCの解説者が「脳震とうは男性のフットボール選手、と思うかもしれないが、女性も脳震とうをおこし、女性の方が治るのに時間がかかる」とコメント)

・続いて大統領のスピーチ
私はスポーツが好きで、子ども達にもスポーツをしてもらいたい。
しかし親は子ども達に安全でいてもらいたいと思っており、スポーツでの脳震とうの心配が一般に高まっている。脳震とうが懸念されるのはフットボールやサッカーだけでなく、ラクロス、レスリング、アイスホッケーなどがある。
CDC(疾病対策予防センター)の報告によると、毎年25万人の子どもと青少年がスポーツやレクリエーション活動による脳の問題で病院の救命センターに来る。(一般の医者に行く人は含まない)
NIH(国立衛生研究所)のFrancis Collins所長が出席しているが、NIHでは脳震とうになり易い人に関して研究を行っている。

今日の主要な参加者はNCAA(全米大学競技協会)会長、MLS(Major League Soccer)コミッシャナーそしてNHL(National Hockey League), US Soccer, NFL, NFL選手協会の代表、脳の専門家、小児科医師、国会議員、ポップ・ワーナー、リトルリーグ、ESPN、脳震とうを経験した子どもの家族などである。

我が国では50州が、選手が脳震とうの後必ず医療チェックを受けてから運動にもどるという法律(訳者注:ライステッド法)に署名している。
CDCにはヘッズ・アップ(Heads up)という公共情報プログラムがあり、親、選手、指導者、学校職員をそれぞれ対象とした情報提供を行っている。

運動選手だけではなく、イラクやアフガニスタンなど海外に展開する軍の兵士に軽度外傷性脳損傷(MTBI)が多く見られる。精神保健や外傷性脳損傷を予防・治療するための新しい研究に1億ドルを投資する行動プランを昨年発表した。成果は子ども達にも重要。

子どもが好きなスポーツを楽しむためには、親が良い情報と知識を持つ必要がある。
しかし脳震とうの影響や治療に関してはまだ理解が十分ではなく、確実な数字が出ていない。
今後いくつかの寄付・出資が期待される。

NCAA(全米大学競技会)と国防省は、包括的な脳震とうと頭部傷害の研究に3千万ドルを拠出し、37,000人の大学生選手が対象に含まれる。またNFLは今後3年間で2千5百万ドルを出してスポーツの安全を促進し、高校での試合にトレーナーを増やすプログラムを展開する。(シカゴベアーズが提案した企画)

NIH(国立衛生研究所)は「繰り返し脳震とう」の影響を1,600万ドルで長期に研究するが、資金はNFL(ナショナルフットボールリーグ)が拠出する。

ニューヨーク・ジャイアンツの共同オーナー、Steve Tischは1万ドルをUCLAに寄付し、スポーツの脳震とう予防、知識の普及、選手の治療の研究をしてもらう。

NIST(国立標準技術研究所)は今後5年間で、より軽く反応性のよい保護用具の材料開発に500万ドルを投資する。
素晴らしい拠出に感謝する。

シャロルとジェイソンにはアイスホッケーが好きな息子たちが3人いる。シドニーは7歳のときに軽い脳震とうを起こし、アイザックは8歳の時に試合中さらに重い脳震とうを起こす。どちらも頭痛が続き、授業中も集中できない。アイサックはしばらく学校を休んだ。適切な治療と医師の助けでどちらも症状と行動が改善した。
医師がアイスホッケーを止めることを勧めたら両親もそうしようと思った。しかし子ども達はスポーツが好き。そこで父と母はこの課題を勉強し、医師、コーチ、先生の支援を得て子どもたちは再びアイスホッケーを始めた。(NHLには参加しないだろうが。)

親が情報を得て支援を求めることが大切。しかし親だけではなく私達全員が参加しなければならない。そのためにこの様なPublic-Private(政府と民間)のパートナーシップが重要になる。

大統領スピーチのあとはパネルディスカッションがあった。
雨が降っていたので、ホワイトハウス庭園でデモを行うことになっていたが、中止になった。




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