第8回シンポジウム開催報告

2014年6月29日(日)に、第8回シンポジウム「柔道事故をどうなくすか」を東京で開催いたしました。

当会のシンポジウムでは、これまで柔道事故についてその事故の多さと事故率の高さに警鐘を鳴らし、柔道の安全確保について様々な見地より訴えてきました。
重大な柔道事故の大半は脳損傷によるものですが、柔道では他の競技に比べて熱中症の発生率も高いと言われています。

今回のシンポジウムでは、柔道事故をもう一度根底から考え、頭部外傷だけでなく、心臓震盪、熱中症、脳虚血など柔道で起こりうる事故の全体像を捉えた上で、何が危険なのか、どのような指導が事故に繋がるのか、指導者は重大事故を防ぐために何に留意をすべきなのかについて各ご登壇者より講演をいただきました。

また、今回のシンポジウムでは、全日本柔道連盟からのご協力をいただき、元・全日本柔道連盟総務副委員長の正木照夫氏にご登壇をいただきました。
当会として、公式に全柔連からのご登壇者を迎え、安全への取り組みについて全柔連とともに考える初めてのシンポジウムとなりました。

正木氏は、「組織を挙げて、事故ゼロに向けて真剣に取り組むことを約束したい。事故防止のためには、全柔連と被害者の会の連携が欠かせない」と全柔連と被害者の会が共に柔道の安全対策に取り組む姿勢が必要であることを強調されました。

後半のパネルディスカッションでは、溝口紀子さんをコーディネイターとし、登壇いただいた講演者と会場の参加者を結びながら柔道の安全対策についての様々な議論が行われました。

当日は、宇野博昌事務局長、北田典子広報委員長を初め、アテネ五輪柔道女子78キロ超級金メダリストの塚田真樹さんなど多くの全柔連関係者にご参加いただきました。
パネルディスカッションの中で、宇野事務局長は「被害者の生の声を聞き、事故は絶対に起こしてはいけないとあらためて感じた。指導現場の末端まで届ける改革を実行したい」と話されました。

被害者の会と全柔連が柔道による重大事故ゼロへの思いを一つにし、ともに柔道の安全確保に向けて取り組むための記念すべきシンポジウムとなりました。

ご参加をいただきました皆様に、心より御礼申し上げます。

全国柔道事故被害者の会 第8回シンポジウム「柔道事故をどうなくすか」
■日時:
2014年6月29日 (日) 12時00分~16時30分

■主催:全国柔道事故被害者の会

■講演者(順不同):
1.内田 良氏
「柔道で起きる事故ー頭部外傷から熱中症までー」
名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授

2.野地 雅人氏
「スポーツ頭部外傷と脳神経外科医の対応ー予防から競技復帰についてー」
神奈川県立足柄上病院脳神経外科部長/神奈川県アマチュアボクシング医事委員会委員長/神奈川県体育協会医科学委員会委員/日本体育協会公認スポーツドクター

3.田中 義之氏
「心臓震盪による突然死」
全国柔道事故被害者の会 副会長

4.事故被害者家族からの報告
 ・澤田 佳子氏(長野県松本市柔道教室事故被害者母)
 ・村川 弘美氏(滋賀県秦荘中柔道事故被害者母)

5.正木 照夫氏
「安全指導とはー指導における体力、力の抑制について」
柔道8段/正木道場館長/元全日本柔道連盟総務副委員長として柔道事故の調査を担当/拓殖大学客員教授

6.溝口 紀子氏(パネルディスカッション コーディネイター)
静岡文化芸術大学准教授/静岡県教育委員会委員長職務代理/バルセロナ五輪銀メダリスト/スポーツ社会学者

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