ホッケーで青少年が上級者と組み技術向上を目指すメリットと、脳震盪による損傷発生のリスク

カナダの新聞The Globe and Mail(カナダ最大の全国紙)に、「ホッケーで青少年が上級者と組み技術向上を目指すメリットと、脳しんとうによる損傷発生のリスク」Concussion injury potential offsets benefit of ‘playing up’ in youth hockey, study arguesという記事を見つけました。(2016年1月19日付記事)
http://www.theglobeandmail.com/life/health-and-fitness/health/concussion-injury-potential-offsets-benefit-of-playing-up-in-youth-hockey-study-argues/article28254575/

柔道事故発症原因とも共通する興味のある個所の抄訳を載せます。
・米国小児医学雑誌The Journal of Pediatrics に、145人の13歳から18歳の女子・男子のホッケー選手を調査した米国の新しい研究が発表された。
脳しんとうの症状は思春期前半のホッケー選手ではかなり長く持続するため、低年齢の選手は自分より肉体的に成熟している上級者と組んで技を磨く play up(注1)を制限すべきである
肉体的にまだ成長していない10代の少年少女は、脳しんとうから回復するのに平均54日かかっている。
思春期後期の選手に比べると、3週間または40%長い。
・頭痛、めまい、集中力の欠落、睡眠障害などの症状が見られた。

主要な著者であるDr. Peter Krizは、「才能がある若い選手は、年齢が高く上手な選手と高いレベルでプレーすることで技を磨くことが奨励される14歳の選手が18歳などの選手と同グループに配属されることもあるしかし脳しんとうに伴う損傷リスクは、技を上達させるメリットよりも大きいだろう。」と述べている。

米国小児科学会は、ホッケーで15歳未満の選手はbodychecking(注2)を行わない方が良いと勧めている。Dr.Krizも「bodycheckingの技術は重要で子どもも学ぶべきだが、同年齢の選手と行うべきだ。」と述べている。

注1:play up:スポーツで、体格や年齢、技術が上の人とやって技術力を上げること
注2:bodychecking:アイスホッケーで相手側選手に体当たりすること

柔道で、脳損傷や頸髄損傷などの重篤な事故を防ぐための「体格差、年齢差、技術差のある相手と組ませない」というキーワードが一緒です。

肉体的にまだ成長していない10代の少年少女は、脳しんとうから回復するのに平均54日かかっている」ことを、柔道指導者達にはしっかり認識していただきたいです。

2016年1月26日




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