文科省が学校重大事故発生直後3日以内の聴き取り調査実施等の指針を取りまとめる

文科省の「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議は3月22日、「学校事故対応に関する指針」を取りまとめた。
http://www.asahi.com/paper/editorial2.html?iref=editorial_news_one
https://www.kyobun.co.jp/news/20160322_01/
http://www.asahi.com/articles/DA3S12271222.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160322-OYT1T50097.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160322/k10010452351000.html

私共が特に注目した点は、
☆事故発生から3日以内に学校は、関係する全教職員と事故現場に居合わせた児童生徒から、聴き取り調査を行なって事故の概要を把握し、1週間以内に被害者家族に説明する。
☆初動調査後、授業や学校行事などの教育活動が背景にある場合や、被害者家族が要望した場合は、外部の専門家による調査委員会で詳細な調査を行う。
との指針を明らかにしたことである。

当会には、
★生徒が危篤の状況であるにもかかわらず、事故後の保護者会において、校長が「(生徒は)回復に向かっている」と説明した。
★「(被害者生徒は)今夜が山です」と病院から言われている状態であったにもかかわらず、学校が、「当該生徒の生命に別条はない」「柔道部の練習と事故との間には直接の関係はないと保護者から聞いている」と、事故報告書に記載した。
★顧問に不利となる柔道部員の証言を削除した事故報告書を、学校は警察に提出した。
★柔道授業中に心臓振盪による心室細動を発症。意識不明のため迅速な救急車要請が必要にも関わらず、まずは学校内でなんとか処置しようした。この誤った判断により学校校門前にある消防署からの救急車到着が大幅に遅れ、蘇生機会を失ってしまった。更にはその対応の遅れを学校側が正直に認めなかった。
★被害者家族が、県知事や市長にまで第三者調査機関の設置を要望したが取り上げてもらえず、学校と教育委員会との調査で済ませられた。(複数の家族が体験)
★顧問は日頃から部員に対して平手打ちや蹴りを繰り替えしていたが、「それは教育の一環だから」という理由で事故調査がなされなかった。
 ・・というように、我が子の事故だけでも大変なショックを受けているのに、学校や教育委員会の不誠実な対応によりさらに泣かされている事例が多い。

「3日以内の調査」「生徒たちも含めた聴き取り調査」が学校の手で行なわれることには大きな不安があるが、それすら行なわれずに煮え湯を飲まされてきた被害者から見ると、とてつもなく大きな一歩が刻めたことに感慨深いものがある。

これは一応前向きな指針ではあるが、問題点は多々ある。有識者会議をまとめて文科省が作成した「学校事故対応に関する指針(案)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/03/16/1368615_007.pdfに対して、この会議に呼ばれて意見を述べた当会員が文科省に以下の意見書を送った。
「学校事故対応に関する指針(案)」に対する意見書

文科省は、「本調査研究は、今年度末で終了となるため、この時点でまとめられた内容で指針として公表する。しかし、課題は残っているので、今後も取り組み事例を蓄積し、必要な改善・見直しを行っていく。」と述べている。
今回の指針を基として、更に改善されていくことを強く願う。

2016年3月25日




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