全国の中学校柔道授業で3,967件、柔道部活動では5,835件の事故が発生(2014年度)

全国の中学校での柔道授業中の事故で、医療機関を受診した件数は3,967件に上ることが、丸尾牧兵庫県議会議員の調査で明らかになった。
http://www.sankei.com/sports/news/160314/spo1603140048-n1.html
http://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/201603/0008892001.shtml
http://maruomaki.asablo.jp/blog/2016/03/14/8049100

柔道部の部活動では、更に5,835件も事故が発生している。
両方を合わせると、2014年度の1年間だけで9,802件となる。
単純に365日で割ると、中学校の柔道事故で毎日27人が病院にかかったことになる。
病院を受診したということは、それなりのけがを負ったということを意味している。
実際3,967件の授業中のけがのうち、3割強にあたる1,263件は骨折であった。

武道の授業において、全国の中学校の64%が柔道を選択している。
14年度の全国の中学校生徒数は3,504,332人であるから
3,967人÷(3,504,332人×0.64)=0.001768792
大雑把な計算ではあるが、これによると授業中のけがの発生率は0.18%となる。

非常に乱暴極まりない比較をあえてさせていただくと、電化製品などの0.18%の事故発生確率はA領域で、「社会的に許容されないリスク領域」のレッドゾーンとなる。

参考資料:消費生活用製品のリコールハンドブック2016(44ページ)

http://www.meti.go.jp/product_safety/recall/handbook2016.pdf

子どもたちの命が、こんなにも軽く扱われていいのか。

ある高校の柔道部で、去年1年生の柔道部員が骨折した。(2015年)
その生徒は6月から9月にかけて7回も熱中症を発症し、そのうち1回は意識も薄れて病院に担ぎ込まれていた。
この高校では、全柔道指導者が熟知していなければならないはずの冊子「柔道の安全指導」(全柔連発行)の存在を知っていたのは、柔道部指導者4人中たった1人だけだった。

全柔連は事故の多発を受けて、「指導者資格制度」を新たに設け、「柔道の安全指導」冊子を使った安全講習会を行うなど、更なる安全指導を心がけている。
ところが学校内の指導においては、この「指導者資格」を有していなくても指導できることになっているのだ。
柔道事故の多くは学校内で発生しているにもかかわらず、である。
この矛盾を解決しない限り、学校で安全な柔道指導が行われることは望めない。

2016年4月8日




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