朝日新聞「患者を生きる」で柔道事故による頸髄損傷が連載される

朝日新聞「患者を生きる」に、当会会員の池田歩さんが4回(5月2日~6日)にわたって取り上げられた。
「ある日突然 脊髄損傷:1 柔道の試合中首に激痛」no.3043
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12338502.html
「ある日突然 脊髄損傷:2 自分の姿 受け入れられず」no.3044
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12339711.html
「ある日突然 脊髄損傷:3 ジム通いで自信 就職も」no.3045
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12341321.html
「ある日突然 脊髄損傷:4 情報編 移植で再生 研究に希望」no.3046
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342545.html

2010年5月、埼玉県熊谷市で開かれた春季地区高校柔道大会の準決勝でのことである。対戦相手が歩さんに背負い投げをかけたが決まらず、うつぶせになった歩さんのズボンを掴んで足を持ち上げ、歩さんの頭が畳に付いた状態で無理にあおむけにしようとした。その瞬間、首の骨の第5、第6頸椎を脱臼骨折。頸椎の中を通る脊髄が傷つき、歩さんは寝たきりとなった。

血のにじむようなリハビリの結果、現在は車椅子で生活できるまでになったが、毎日の生活は当然困難を極めている。
しかし、彼女の口から出る言葉には、苦しみ抜いた人達にだけ与えられる力と輝きがある。
「落ち込んでいても何も変わらない。じゃあ、どうする? 外に出るしかないじゃん」
「体の傷害よりも、周りと比べる自分の気持ちの方が障害になっていたんだ」
(自身の長所を問われて)「やりたいと思ったら、『車いすだから』とあきらめるのではなく、できるようにするための方法を考えて挑戦するところです。」

私達の会には我が子を亡くした家族もいるが、重度障害者となった子を抱えた家族も大勢いる。
我々はよく、「もう5年も前の話じゃないか」「10年前の話じゃないか」と言われることがある。
加害者や柔道関係者にとっては5年前、10年前の過去のできごとかもしれないが、障害を負った子ども達は、これから30年、40年先も、重度の障害を抱えて生きていかねばならない。
この重い現実を、柔道関係者―特に加害者の方々は、肝に命じていただきたい。

2016年5月7日




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