イギリス柔道連盟の「(児童)保護手段のツール」Safeguarding Toolkitを和訳 

イギリス柔道連盟は、「児童保護の方針・手続き・ガイドライン」“Safelandings”(安全な着地)と、“Safeguardings Toolkit” (児童保護手段のツール)を作成している。(この二者は対になっている)
6年前、本連盟の許可を得て、前者の和訳を行った。
“Safelandings”(安全な着地)の資料ダウンロードはここから

この度、後者の和訳が完成したので、併せてサイトアップをした。
“Safeguardings Toolkit”(児童保護手段のツール)の資料ダウンロードはここから

“Safelandings”の「身体的虐待」の項目では
・相互の同意や技術的な正当性を欠く、過度の激しい乱取り
・成長期にある選手の身体能力の未熟さを軽視した過度の訓練、過度の競争
・体重別階級に合わせるために体重を下げることを強制(または示唆)すること
・罰としての不適切なレベルの身体鍛練
等は、「虐待」であるとはっきり書いてある。

“Safeguardings Toolkit” (児童保護手段のツール)では、虐待が発生しないためにどのように「リスク管理」を行うかが詳細に記されている。
例えば「寝技では、二人の選手がその動きを実演するように指導する」「身体の接触が必要な時は、事前に説明し、生徒の同意を得なければならない」等、指導方法が実に具体的に記されている。

「こんなことまで気をつけて指導していては、強い生徒など育てられない」と日本の多くの指導者は言いたくなるかもしれない。
欧米では、日本の何倍もの人数の子どもたちが柔道を学んでいるが、この安心して柔道を楽しんでいる子どもの中から、日本選手も歯が立たないオリンピック選手が育っているのである。
多くの日本の子どもたちも、安全に安心して楽しむために柔道を習いに来ているということを思い出して欲しい。

「なぜ欧米では、柔道による死亡事故はおろか重篤事故すら発生していないのか?」「なぜ日本では、相変わらず子どもたちが柔道事故で死に続けているのか?」の答えがToolkitの中にある。
これは「資料ダウンロード」に置いてあるので、是非柔道指導者の方々に目を通していただきたい。

苦労してやっと和訳が完成した直後、1年半前に改訂版が出されていることが判明したため、現在改訂版を翻訳中である。取りあえずToolkitをサイトにアップした。

日本の子ども達が安全に安心して柔道が楽しめる環境を作るのは大人の責任である。指導者の方々がそれをこのSafelandingsから学んでくれることを切に願う。

2016年6月20日




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