さらに栃木県でも柔道事故が発生!!

8月7日、栃木県大田原市の市立中学校で、柔道部の1年生が頭を強打し、外傷性くも膜下出血で10日間も意識不明となる重篤事故が発生した。

朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ8N32B1J8NUUHB002.html

産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/160820/afr1608200013-n1.html

毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160821/ddl/k09/040/010000c

相変わらず、これまでの事故と同じく以下のキーワードが並ぶ。
・初心者
・大外刈り
・中学1年生
・約束稽古
・頭部と背中を強打

今回の事故は、「外傷性くも膜下出血」とある。
柔道での脳損傷の多くは、回転加速による急性硬膜下血腫である。
急性硬膜下血腫は、頭部の回転運動により頭蓋骨と脳の動きにずれが生じて、その間をつないでいる静脈が引っ張られて出血することによって起きる。
これに対し外傷性くも膜下出血は、頭部が強い力による打撲を受けたために起こる。
「外傷性」と発表されているということは、当然「脳挫傷」などの所見があったはずである。
人の力だけで脳挫傷を作るとは、この柔道部ではいったい何があったのか。

被害生徒は手術を受けていない。しかし外傷性くも膜下出血では基本的に手術をしないので、「手術をしなかったから軽いけがである」と考えるのは間違いだ。

外傷性くも膜下出血で10日間も意識不明だったということは、高次脳機能障害が残る懸念が大いにある。
高次脳機能障害は「見えない障害」と言われ、記憶障害・失語・遂行機能障害など、日常生活を営む上で困難を極める。

全柔連も事故を公表している。
http://www.judo.or.jp/p/39281
上記内にも記載があるが、昨年5月に発生した福岡の女子中学生(1年生で初心者)の死亡事故が「大外刈り」で発生していることを受け、同年12月、全柔連は「大外刈りの段階的指導手順例」を各都道府県柔連に配布している。
http://www.judo.or.jp/wp-content/uploads/2016/08/
9575e040a99de6f24801dcddf20cffc2.pdf

さらに今年4月には「事故通知」、7月には「重大事故緊急依頼文」を各都道府県柔連に配布して、厳重なる警告を発している。
http://www.judo.or.jp/wp-content/uploads/2016/08/
49b68055dbbeaabfa433ba0f7bf3ee0c.pdf

http://www.judo.or.jp/wp-content/uploads/2016/08/
cada1ead3ce58075a500bdfd03b937d6.pdf

これらの通知にきちんと目を通した現場の指導者は、一体幾人いるのだろう。
館林市や大田原市の顧問教諭も、この通知を真剣に読んでいたのだろうか。
そうならばなぜ、同じ事故が起きたのか。
ここには、難しいことは何も書かれてはいない。
「とても当たり前のことに注意を払えば、子どもたちの命が守れる」ということが書いてあるのだが。

しかも、「元気に家を出た子どもたちの安全を守り、無事に家に帰すのは柔道指導者の義務です」と、
全柔連自ら述べているではないか。

2016年8月27日




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