全柔連は、20年も前に柔道事故の悲惨な実態を知っていた!

慈恵医大脳神経外科医の谷諭教授著「本当に危ないスポーツ脳振盪」(大修館書店)が、先日発売された。
頭をぶつけやすい柔道において脳振盪は非常に重要な問題なので、即通読したのだが、驚愕する一文を見つけた。

10ページ目に、「全日本柔道連盟(全柔連)が20年ほど前に事故に関する調査をしてデータをとりました。すると学校教育現場では、100名以上が命を落とすような頭のケガをしていたことがわかりました」とある。

全柔連は20年も前に、独自に事故調査を行ない、100名以上が命を落とすような頭のケガをしていたことを知っていたのだ。
その時点できちんと事故防止策を行っていたなら、私たちの、そして日本中の多くの子どもたちが死なずに済んだし、重い障害を一生背負わされることはなかったのだ。
いくら悔し涙を流しても収まらない。亡くなった命は帰ってこないし、負った障害が治るわけではない。

本著は、「脳振盪はなぜ起こるのか」「脳振盪を起こした時にどう対処すべきか」「指導者や保護者は何を知っておくべきか」などについて、一般向けにやさしい文章で書かれている。実にわかりやすいので是非ご一読願いたい。

特に保護者の方々に読んでいただきたい。
なぜなら多くの柔道事故は、経験豊かな指導者の下で発生しているからだ。
即ち、学校や柔道指導者に子どもたちを守ってもらうことが期待できない場合もあるのだ。ならば、親が我が子を自ら守るための知識を持つことは、必須ではないだろうか。
そしてその得た知識を子ども達や他の親にも伝え、正しい情報の普及に努めていただくことを、我々は切望する。

柔道の重篤事故は100%防げる

これまでの重篤事故で、防げなかった「あいにくの事故」などひとつも無かったのだ。

2016年9月13日

注:「脳しんとう」の表記には「脳振盪」「脳震盪」「脳しんとう」などいろいろある。
一般的には「脳震盪」「脳しんとう」が使われることが多いが、医学界では「脳振盪」が
使われる。今回は谷教授の御本に倣って、「脳振盪」で書かせていただいた。




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