日本スポーツ仲裁機構が帝京科学大前柔道部監督の訴えを却下

一昨年11月、帝京科学大の乙黒柔道部前部長(監督)が4年生部員を集めて「下級生を厳しく指導しろ」と指示したことにより、複数回の暴力行為が行なわれ、2年生が3年生に殴られて顎の骨を折るけがを負った。それ以前にも暴力行為が繰り返されており、大学は監督である乙黒氏を部長職から解任した。
全柔連も「監督責任は大きい」として、昨年3月に1年間の指導禁止命令を出した。
http://judojiko.net/news/2218.html
http://www.asahi.com/articles/ASJ334HZ8J33UTQP010.html
http://www.asahi.com/articles/ASJ333FS6J33UTIL002.html

処分は不当として乙黒前監督は日本スポーツ仲裁機構に訴え出たが、1月12日にスポーツ仲裁機構はこの訴えを却下した。
http://www.nikkansports.com/sports/news/1764401.html
http://www.sankei.com/sports/news/170112/spo1701120024-n1.html
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017011200832&g=spo

乙黒前監督が指導した帝京科学大柔道部(2010年に発足)が数年で強くなった実績や、その指導力(?)を認めている柔道界の存在が、今回の処分を不当とする訴えに結びついたのだろう。

朝日新聞1月7日付「縦横無尽〔上級生の暴力なくすには〕」で、制野俊弘和光大准教授が「顧問が自分を含めた強い者を上にみる意識で指導すれば、上級生を絶対視する傾向が生徒にも伝播しやすい」と述べている。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12736140.html
指導者や上級生に殴られた下級生は、なぜ殴り返さないのか? なぜ下級生は殴られっ放しで耐えるのか?指導者や上級生は、殴られる下級生の気持ちを本気で考えたことがあるだろうか。自分たちの行動を疑問に思い、指導の在り方を問い直すならきっと暴力は無くせるだろう。

「目上への礼儀正しさと、年長者の言うことを無条件に聞くことは異なる。」と説く中小路記者の言葉が、スポーツ界で「当たり前のこと」として認知される日が早くきて欲しい。

2017年1月14日




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