柔道授業で大けがをした元高校生が県を提訴

神戸で、柔道授業で骨髄を損傷した当時高校1年生だった男性が、兵庫県と同級生、その保護者に損害賠償を求めて提訴した。
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201701/0009844711.shtml

被害生徒は2013年10月、体重が倍(106kg)もある初段の同級生と対戦し、骨髄損傷を負って約240日間も入院した。

記事から考えられる問題点は次の5点である。

  1. 相手生徒の体重は被害生徒の倍の106kg
  2. 相手生徒は初段
  3. 授業で対戦
  4. 無理な体勢で倒れこんだ
  5. 絞め技をかけた時点で担当教諭は止めるべきだったのに、漫然と見過ごした

これらに対してつぎのような疑問が浮かんでくる。

  1. 「体重差が危険」だとこれほど注意喚起されているのに、未だにこんなとんでもない組み合わせを平気で行っていたのはなぜなのか。ただただ呆れるしかない。
  2. 初段ならば当然相手に「手加減」すべきところを、なぜ「手加減」をしなかったのか。
  3. 「手加減」をちゃんとしていれば、絶対に骨髄損傷などという重篤なけがを負わせるわけがない。
  4. 「対戦」ということは、「乱取り」だったのか?
  5. 高校1年生で、いったい何回目の柔道授業だったのか?
  6. これもまた「手加減」をしなかったと言わざるを得ないだろう。
  7. 被害生徒の柔道経験がわからないが、もし初心者で授業でしか柔道を習っていなかったら、この行為は危険極まりない。
  8. 授業で「絞め技」を教えていたのか?
  9. 担当教諭が「漫然と見過ごした」と書いてあるということは、「絞め落とした」(絞めて意識を失わせる)のではないのか?

この裁判では、相手生徒とその保護者も提訴された。
「体重差」のある生徒同士を組ませたのは担当教諭の責任であるが、「初段」でありながら「手加減」せずに、無理な体勢で倒れ込んだり絞め技を掛けた行為に対し、相手生徒にも責任を問うたのだろう。

講道館柔道の創始者である嘉納治五郎師が、「どうかすると、対手(あいて)のことは深く意に留めず、ただおのれの練習の便利ばかりを考えて稽古するようになる。しかしそれでは柔道の修行の精神に戻(もと)ったことになる」と説いている。

柔道は、もともとは人を殺めるために編み出された武術である。だからこそ「精力善用 自他共栄」の心を修養できない人は、柔道を学んではいけない。

2017年1月27日




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