国家賠償法は犯罪教師までは守らない PARTⅡ

大分県立竹田高校剣道部顧問が工藤剣太君の命を奪った事件に対し、昨年12月22日大分地裁はこの顧問に重過失があったとして、国家賠償法に基づき、県に対して100万円を当顧問に請求するよう命じる判決を下した。
【元顧問の重過失認定 剣道部員死亡で大分地裁】大分合同新聞2016年12月23日付
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/12/23/JD0055317184
【高校剣道部員熱射病死亡事件、元顧問への求償権行使命じる判決】きょういくブログ2016年12月23日付
http://kyouikublog.wpblog.jp/12168.html

しかし大分県教育委員会は、顧問には賠償を負担させるほど重大な過失はなかったとして控訴した。

【「もう無理です」腹を蹴り、平手打ち…大分県が高校部活事故で控訴 熱中症で死亡「元顧問は救命措置した」】産経新聞2017年1月5日付
http://www.sankei.com/west/news/170105/wst1701050055-n1.html
【大分・熱射病死 県が控訴 元剣道部顧問に賠償金負担判決】毎日新聞2017年1月5日付
http://mainichi.jp/articles/20170106/k00/00m/040/060000c
【竹田高校剣道部員死亡求償権訴訟 大分県が控訴】大分朝日放送2017年1月5日
http://www.oab.co.jp/news/?id=2017-01-05&news_id=9133

大分県はなぜ控訴したのか?
「初めて求償権を行使して、加害教諭に賠償金を支払わせたのは大分県だ!」と言われてはまずいとでも考えたのか?
しかし加害教諭に求償権を行使したのは、大分県が最初ではない。

福井市立中学校で教諭が1年男子生徒を殴って失明させた暴力事件で、2007年福井地裁が教諭の暴力を「故意」と認め、福井市に賠償金を支払うようにとの判決を下した。
福井市は控訴せず、「教諭の暴力は、公務員の正当な職務の範囲外」として、国家賠償法に基づいて教諭に賠償額の一部を請求した。
【暴力教師個人に損害賠償の一部を請求:福井市】きょういくブログ2007年5月30日付
http://kyouikublog.wpblog.jp/454.html
市と加害教諭とで調停が行われ、加害教諭は約400万円を市に支払った。(鈴木正樹福井市議会議員からの情報提供により判明)

大阪市でも、敗訴して被害者に支払った賠償金を加害教諭にきちんと求償している。
【「体罰・暴力行為を許さない開かれた学校づくりのために」~体罰・暴力行為の防止及び発生時の対応に関する指針・児童生徒の問題行動への対応に関する指針~】大阪府教育委員会2015年1月13日付
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000274391.html
・教師が生徒に暴力をふるったことにより、裁判所から市に220万円の支払いを命じられた事案
→当該教諭へ一部を除いた全額を求償
・教師が生徒に暴力をふるったことにより、裁判所から120万円の支払いを命じられた事案
→当該教諭へ全額を求償

大分県はこれらの事案にみられる教師の暴力への厳しい対応をしっかり受け止めて、控訴を取り下げる勇気を出して欲しい。それこそが生きた教育だ。

2017年2月3日




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