大分県立中津東高校柔道部員が顧問の暴力行為に対し提訴

大分県立中津東高校柔道部員が、「部活動中に顧問教諭から暴行を受けてケガをした」として、大分県に対し2,392万円の損害賠償を求める訴訟を421日、大分地裁中津支部に提出した。
http://kyouikublog.wpblog.jp/post-14935.html
【「柔道部顧問の暴行でケガ」として提訴:大分県立高校】きょういくブログ2017426日付
 
昨年20167月、顧問との乱取り中に、奥襟を取ろうとした生徒のこぶしが顧問の左頭部をかすめた。激高した顧問は、無抵抗の生徒を罵倒しながらその顔面や後頭部を拳で何度も殴り、当生徒を床に叩きつけたりした。
生徒は顔が腫れ、頭痛や吐き気があったため市内の脳神経外科を受診し、後頭部打撲及び頸椎捻挫と診断された。8月には、北九州市の病院で脳脊髄液漏出症さらに中心性頸髄損傷と診断され、2度の入院と手術を余儀なくされた。生徒は現在も頭痛や拒食に苦しみ、事件以来一度も学校に通えていない。
http://www.asahi.com/articles/ASK3Y3WFBK3YTPJB008.html
【大分/柔道部の練習中に元顧問が平手打ち 中津東高】朝日新聞2017330日付
 
皆様は、脳脊髄液漏出症や中心性頸髄損傷がどれほどの力で発症するかご存じだろうか。
激しい交通事故にあったり戦場で爆風に飛ばされるほどの衝撃を受けたりして、初めて発症するのだ。それがなぜ柔道部の練習で発症したのか?
ある報道では「2、3回叩いた」となっているが、それが本当ならば、その力は想像を絶するものであったことになる。それこそ「暴力」以外のなにものでもない。絶対的な力のある者からの「暴力」は、「虐待」だ。
 
「講道館柔道試合審判規定」では「相手の人格を無視するような言動や、相手の体に危害を及ぼす」ことをはっきりと禁止しているこれは一般社会でも当たり前過ぎるほど当たり前のことだ。柔道家、ましてや指導者なのに、生徒たちの模範となる言動と己を律する精神を培ってこなかったのだろうか。
http://www.judo-ch.jp/koudoukan_judge/kinsi/
 
このような報道に接するたびに、とても不快になる語句がある。
「体罰」だ。今回も複数の報道機関が「体罰」という言葉を使っているが、この事例のケガは、明らかに顧問の「暴力」によるものである。仮に「体罰」だったとしても、「体罰」で相手にケガをさせたならば、それは「暴力」であり「虐待」だ。
「体罰」には「生徒がなにか悪いことをした」というニュアンスが含まれるせいか、学校や教育委員会はしばしばこの語句を使う。言葉を扱うプロである報道機関は、取材をして明らかに生徒に非が無いと確信したならば、教育委員会の発表のまま「体罰」と報道する前に、一考すべきであろう。
これまで「体罰」と報道されてきたほとんどの事例は、「虐待」である
 
201769




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