夏は体育館の方が屋外より気温が高い!

夏の体育館内の気温が屋外より高くなることを、皆様はご存じだろうか。

環境省の「熱中症予防情報サイト」に、エアコンなどの空調設備がない学校の体育館では、WBGT(暑さ指数)が午後1時頃から屋外より体育館内の方が高くなって、午後56時頃にその差が最大となり、日没後も午後10時頃まで体育館内の暑さ指数が高かった、とはっきり書いてある。
http://www.wbgt.env.go.jp/lifewbgt.php
 
環境省は1か所の体育館でのデータを基に書いているが、探すと同じような結果の論文を見つけることができる。
下記論文は、1日のうちで体育館内の温度が外気温度を上回った時間が平均7時間57分(±1時間6分)に及んだことを、データではっきり示している。
http://natori.sendai-nct.ac.jp/ggp/H19-kankyo/contest/files/biz_con_i.pdf
 
中学高校部活動中の熱中症死亡率は、なんと柔道が1位、剣道が2位である。
https://news.yahoo.co.jp/byline/ryouchida/20150821-00048685/
(「柔道 熱中症でも高い死亡率 学校柔道120人目の犠牲者」内田良名古屋大准教授2015815日付yahoo個人ニュース)
炎天下のグラウンドを走り回る野球やサッカーは、3位、4位である。
 
屋内の柔道や剣道の死亡率の方がなぜ高いのか?
柔道部員に肥満傾向が多く見られ、分厚い柔道着や剣道着を着用していることも一因かもしれない。しかし私どもが一番危惧しているのは、指導者が生徒たちにきちんと水を飲ませているのかということだ。生徒たちがどれだけの量の水分補給をしたか、指導者は把握しているのか。
 
バルセロナオリンピック銀メダリストの溝口紀子氏は著作「日本の柔道フランスのJUDO」で、夏の暑い時も水を飲むことが一切許されなかったと書き記している。(21ページ目)
バルセロナで金メダリストの古賀稔彦氏も「スポーツゴジラ」23号のインタビュー記事で、現役時代は「真夏の窓を閉め切った体育館での水無しの稽古は2時間、3時間は当たり前で、サウナみたいに蒸し暑い中で猛練習しても水は絶対に飲めなかった。」と述べている。
古賀氏は「柔道界も今は大手を振って水を飲みに行けるようになっている」と述べているが、過去のオリンピック強化選手の練習を真似て、水を飲ませず、窓を閉め切って練習させる愚かな指導者がいまだにいるから、子どもたちは死んでいるのだ。
 
古賀氏は「自分は全力で稽古しているつもりだったが、頭の中が水分補給したいだけになっていて、集中できずに本当の自分のベストパフォーマンスを出し切っていなかったのではなかったか、と今思う。技術的に伸びるチャンスを逸していたかもしれない」とも述べている。なんと非科学的で残念過ぎる話ではないか!
 
指導者の方々に切にお願いする。
もう少し科学的な指導方法を学び、子どもたちの命を守っていただきたい。
命を失う重症の熱中症になるまで、子どもたちの体調変化を放置しないでいただきたい。
 
201769




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