被害者家族に終わりはない—那須雪崩事故その後 その2
10年前に起きた、とある高校の柔道部活動死亡事故事例について、その学校対応を紹介する。
学校側による「謝罪」
学校側、殊に校長や教頭からの「謝罪」の言葉は、事故直後から現在に至るまで、何度も出ていたということです。事故当日、校長は家族に会って開口一番「学校で起きたことは、すべて学校の 責任です、本当に申し訳ございません」と深謝しました。
総嗣君が亡くなった時には、家族と、総嗣君のなきがらに対しても、校長が「三年間学校に通わせてあげられなくて、本当にごめん」と、心からの謝罪の言葉を口にしました。 そして校長たちは、事故後、新任の校長先生と交代されるまで、月命日の前には欠かさずお焼香 に訪れ、たびたび「済まない気持ちで一杯だ」と慙愧の念を口にしていたのだそうです。
上記は以下の冊子より抜粋した
部活動の安全指導 ―先生方に心がけて頂きたいこと― 日体大 南部さおり著
bukatsu_anzen.pdf (judojiko.net) 54頁より
部活動・スポーツにおける 安全指導・事故対応 の手引 —事故を防ぐために、そして事故が起きた時のために— 日体大 南部さおり著
guidance.pdf (nittai.ac.jp) 139頁より
このような対応は、他の学校ではできないのだろうか。
文科省から、「学校事故対応の指針」が公表されたのは、2016年3月。
しかし、いまだに、被害者家族の気持ちを逆なでし、苦しめる事例ばかりあがってくるのはなぜだろう。
那須雪崩事故被害者のご遺族は語っている。
「自分たちの非を認めず、謝罪や弔意も示さない教員の姿に生徒たちは何を感じるでしょうか?」
教師として指導者としての真の姿が現れるのは、平穏無事な時ではなく、大変なことが起きた時であろう。
事故後の対応が、間違った方向に向いてしまったのならば、今からでもいい。本当に望ましいことは何か、どうしたら誰もがより深い傷を負わなくて済むかを考え、早急に軌道修正すべきである。
子どもたちに反面教師はいらない。 「先生」と呼ばれる身であるならば、人としての誠実な姿を子どもたちに見せてほしい。
2021年9月29日