熱中症予防は、個人の努力だけで行うものではない

バドミントン合宿中“熱中症”高校生20人搬送 群馬・渋川市

https://news.yahoo.co.jp/articles/f30c15c5c84ae91a3c9719f822653799a6ce1945

1年の半分以上は、熱中症の発生を見る現代の気候。

特に梅雨明けからは、セミの鳴き声のごとく、「熱中症」「熱中症」とあちこちで聞かれる割には、その原因や病態や予防法をよく理解している人は少ない。

「暑いから熱中症になる」と思っている人のいかに多いことか。
 

「暑いから熱中症になる、という単純なものではありません。なる人とならない人がいます。

暑く、高い湿度に加えて、様々な環境要因や身体的要因が幾つか重なって発症するからです」

こう述べるのは、熱中症研究の第一人者である、早稲田大学 スポーツ科学学術院 スポーツ科学部准教授の細川由梨氏である。

(以下、「」内は、細川氏の言葉)

「熱中症予防は、個人の努力だけで行うものではありません。

組織的にリスクを認知し、それぞれの立場から予防のためにできることを啓発し、実践に繋げることが重要です」

「熱中症のリスクが高いお年寄りや乳幼児が暑熱環境下で発症するものを、『非労作性熱中症』と呼びます。これに対して、運動時や活動時に発生するものを『労作性熱中症』と呼び、発生のメカニズムに応じた応急処置が必要です」

「労作性熱中症は、早めに介入すれば、予後が良くなります」
 

細川氏は、労作性熱中症について、以下の要因を指摘する。

・熱中症になったことがある

・不十分な暑熱順化

・低いフイットネスレベル

・肥満あるいは高BMI

・睡眠不足・発熱・胃腸障害

・脱水

・薬の服用

・電解質不足

・努力家・負けず嫌いの性格

・休憩時間の少ない激しい練習や長時間の練習

・連日の高温・多湿環境及び直射日光

・運動強度だけを考えた誤った運動と休憩時間の割合

・衣服―武道の道着 防具や装具

・水分補給ができない環境

など
 

「仲間と行っている部活動や授業では、自分のペースで運動調整することが困難です」

発症する人としない人がいる熱中症だが、「同じ活動に参加する児童生徒に、同時期に複数人の発症があったなら、その活動の内容自体に組織的な原因があります」

だからこそ、指導者が十分な知識をもつことが要求される。
 

猛暑の到来が早かった今年は、残暑が長くは続かないかもしれないが、温暖化は進む一方のこの時代。熱中症予防は毎年の課題である。

いまだにWBGTが何のことかわからないような指導者、「熱中症に気をつけろ」としか言えない指導者は、集団生活を行う学校やクラブには、一人たりともいてはならない。




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