松本市柔道教室裁判で被害者側の主張を全面的に認める和解が成立。

 2008年5月、長野県松本市の柔道教室で当時小学校6年だった沢田武蔵君が練習中に男性指導者から投げられ急性硬膜下血腫を発症、現在も遷延性意識障害の状態にある事故の民事訴訟において、2011年9月22日に東京高裁において和解が成立しました。

 この事故の民事提訴については1審の長野地裁松本支部が、2011年3月16日に原告側の主張を全面的に認め、被告側(指導者)に損害賠償金として約2億4千万円の支払いを命ずる判決を言い渡していました。

 被告側(指導者)は、これを不服とし、事故は不可抗力によるものだと主張して高裁に控訴をしていましたが、2011年8月4日に開かれた控訴審において、東京高裁の市村陽典裁判長が弁論の終結を宣言し、結審した上で和解を勧告していたものです。

 和解内容においては、指導者が武蔵君との乱取り中に片襟体落としの投げ技によって武蔵君に急性硬膜下血腫の頭部損傷事故を惹起させたと、指導者の指導内容と事故との因果関係を認め、これを謝罪する事。
 今後柔道指導に際し、かかる行為を2度と繰り返さない事を誓約する事が、条件として出されていましたが、指導者側はこれをすべて認めた上で和解に至りました。

 また、通常、和解の場合は和解金となりますが、これを和解金ではなく、武蔵君に対しての損害賠償金であることを明記することも条件として出され、こちらについても指導者が認め、1審の長野地裁松本支部の下した損害賠償金2億4千万を上回る2億8千万円の損害賠償金の支払いで和解が成立しました。

 指導者が、自身のかけた技によって事故が発生した事を認めた事、その過失を認め謝罪をした事、また、損害賠償金が1審の判決を大きく上回るなど、被害者側の主張が全面的に認められた、勝訴以上の和解内容と言えるものです。

 この和解内容は、今後、同様の裁判に大きな影響を及ぼす内容となるものと思われます。

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