柔道練習中の事故で過失致死を認定、指導者に有罪判決:大阪

大阪市此花区の整骨院内の柔道教室で小学1年の男児(当時6歳)が練習中に意識不明になり死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた元指導者阪本剛被告(36)の判決公判が本日(2011年10月5日)大阪地裁であり、指導者に有罪の判決が下りました。

この裁判は、柔道場で柔道の練習中に柔道技によって起こされた事故として、日本で初めて審理される、柔道指導者の刑事裁判として注目をされていたものです。
また、大阪区検が2011年5月、同罪で指導者を略式起訴しましたが、大阪簡裁が書面審理ではなく通常裁判が妥当として「略式不相当」と判断、同地裁に審理を移した事でも注目集めていました。

大阪地裁の中川博之裁判長は、判決の中で「柔道は事故が起きやすいスポーツ」と指摘。坂本被告が「『受け身の練習を繰り返すと男児が柔道をやめるかも』と安易に考え、児童に十分な受け身を習得させていなかった過失は重い」としましたが、一方で「遺族への謝罪や真摯な反省など酌むべき事情も認められる」と述べ、禁固刑などではなく、検察の求刑通りの罰金100万円の有罪判決としました。

量刑については、様々な議論がされるでしょうが、この判決により日本で初めて柔道の指導者に刑事裁判で過失が認定され、有罪の判決がくだされた事は、非常に大きな意味を持つ事だと思います。

またこの判決で特筆すべき事は、男児が死亡した原因について、直接頭を打たなくとも、立ち技を連続してかけて頭部を激しく揺さぶった事により急性硬下血腫が発生した事によるものである、と認定したことでしょう。

今までの柔道事故の裁判においては、指導者は、引き手をひいて頭を打たないようにしていたので、脳損傷の原因は柔道によるものではないと主張をしてきました。
しかし、この裁判で、私達の会が再三注意喚起を行ってきた、頭を直接打たなくとも、回転加速力によって急性硬膜下血腫が発生する「加速損傷」が死亡に繋がる脳損傷の原因であると、刑事裁判で認められた事になります。

この加速損傷が死亡原因であるという認定は、今後、非常に大きな意味を持ってくるものと思われます。

以下、各メディアの本裁判の記事へのリンクをご紹介します。

毎日放送
http://www.mbs.jp/news/jnn_4843886_zen.shtml

日テレニュース24
http://news24.jp/nnn/news8892456.html

読売新聞
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111005-OYO1T00850.htm?from=main3

朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/1005/OSK201110050041.html

産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111005/trl11100512230001-n1.htm




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