我が子が柔道事故に遭って命を亡くした時、重い障害者になった時、気づいてみたら自分は孤立した状態の中にいました。
そして同じような事故の被害者家族が、そこここで社会から取り残されていることに気づきました。
7年前、「28年間(1983年~2010年)に114人の中高生が柔道事故で亡くなっている」と知った時、愕然とし、「この事実を知っていたら、柔道をやらせなかったのに。もっと気を付けてあげていたのに」と後悔し自分を責めました。
私達が動いても、亡くなった命はもう帰ってきません。障害を負った身体が元に戻ることもありません。でもだからこそ、子どもたちの犠牲を無駄にしたくないのです。彼らの後に続く子ども達を守るために、生かしてあげたいのです。
「もう誰も自分のような悲しい目に遭わせないで」と、姿を無くした子らの声が、重い障害を負いながら必死で生きている子らの目が、精一杯訴えてきます。
私達も思います。「こんな辛い思いをする家族を、もう二度と作ってはならない」と。
私達は子どもが好きだった柔道を憎んだことはありません。柔道事故を憎むのです。
当会は、自らの持つ情報と個々の苦しい体験を生かして、柔道事故に遭われた方々への支援と、事故の未然防止のために活動していくことを設立の目的としています。
柔道事故を無くすために、事故の原因を追究し、様々な観点から指導方法についての注意を呼びかけ、子どもの人権を守るべく社会に働きかけることは、柔道のみならず他のスポ―ツ事故や学校事故の防止にもつながるでしょう。
2012年から2014年までの3年間、これまで延々と続いてきた死亡事故が0件になりました。この死亡事故0そして重篤事故0の年が、今後5年、10年、20年と続き、事故のない柔道がこの国で当たり前のように行われる日が訪れるまで、当会は諦めることなく活動を続けて参ります。
2017年3月17日