柔道練習で後遺症の生徒に賠償命令(広島)

広島県の尾道高校で、乱取り中に頭を強打し急性硬膜下血腫などで高次脳機能障害や視野狭窄の障害を負った生徒に対し、広島地裁尾道支部で8150万円の賠償命令判決が下りました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150820-OYT1T50063.html?from=yartcl_blist

この短い記事の中からだけでも、他の柔道事故と共通する特徴をいくつも見つけられます。
・1年生
・入部したて(4月入部 5月に受傷)
・事故が多いのは5月~8月
・乱取り中
・急性硬膜下血腫

被害生徒が被った高次脳機能障害という障害をご存知ない方も多いと思います。
外傷性高次脳機能障害の多くは交通事故で発症しています。激しい衝突によって急性硬膜下血腫を発症したり、脳の中の神経細胞同士をつないでいるシナプスがズタズタに切られて(びまん性軸索損傷)、記憶や言語など人間として生きていくためにとても大切な能力に障害が生じます。
http://www.f-gh.jp/koujinou/koujinou2.htm
高次脳機能障害は一見普通に話したりできる人も多いため、「見えない障害」と言われます。しかし記憶障害や遂行機能障害などのため日常生活は困難を極め、コンビニなどの単純労働すら不可能です。

柔道事故で高次脳機能障害者となった子ども達は、他に何人もいます。
シナプスをズタズタにするには、急性硬膜下血腫を発症させるよりももっと強い力が必要と言われています。どのようにしたら、人の力だけで高次脳機能障害を発症させるほどの脳損傷が起こるのでしょうか。

この事故もまた、防げたはずの事故であったと強く思います。
裁判長もそう感じたからこそ、「事故を防ぐための適切な措置を講じる義務に違反した」と結論付けたと思います。




ページの先頭に戻る