柔道界の裏切り その1

同じスポーツでも、日常の生活の中で自然に経験してゆく野球やサッカーとは違って、
柔道は、子どもが「やりたい」と言った時、親が認めてやらせたり、
親の方から薦めてやらせたりする競技である。
道場で幼児期・児童期から始める少年柔道も、中学・高校から始める部活動も、
親の承諾を得て始めているのである。
この時、親も子どもも、柔道の指導者を信じている。我が子が死ぬとわかっていたら、
許可するわけがない。
それがどうだろう。指導者の、無知な指導・乱暴な指導・暴力・暴言等によって、
たくさんの子どもが、死に追いやられたり、重度障害者にされたり、深い心の傷を
負わされたりした状態で、親に返されてきた。
そして、その指導者の多くは、謝罪の言葉もなく、自己弁護を連ね、被害者や
その家族を思いやる気持ちを持たない。
柔道指導者は、柔道を好きだった子どもたちと、「先生」を信頼していた親たちを
裏切ったのである。
更に、被害者が裁判を起こした時は、他の柔道家も、全柔連や県柔連も、弁明の
余地のない被告(指導者)をかばい、被害者家族に二重三重の苦しみを与えてきた。
こうした不信感の累積が、柔道人気の低下 — 即ち柔道人口の減少に繋がっているのだ。
柔道人口の多いフランスでは、親が率先して子どもに柔道を学ばせる。日本では、
親が柔道をやらせない。
柔道人口の多少は、親が子どもに柔道を許可するか否か ― 言い換えれば、柔道界が
全国の親たちに信頼されているか否かを示している。
オリンピックでいくら金メダルを取っても、柔道人口の増加は図れない。
柔道界や全柔連が、親たちからの信頼を得るしかないのだ。どんなに時間がかかっても、
どんなに遠回りをしても。
全柔連関係の方々に尋ねたい。子どもが「柔道をやりたい」と言った時、
「この国は全柔連があるから、安心して柔道ができるね」と、親の口から
言わせてみたくはないですか。




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