また一人、子どもが死にました。また一人、重い障害を負いました。

「毎年、柔道事故で約4人の子どもが亡くなり、約10人が重い障害を負っている」という事実に、日本中が驚愕したのは2010年。中学校における武道必修化が2年後に迫った時期でした。中学・高校の学校内における柔道事故の死亡者は、1983~2011年の29年間で、実に118人に及びます。
(内田良名古屋大学大学院准教授著「柔道事故」河出書房新社より)
その後、2012年から2014年の死亡事故の発生は0件となりました。
しかし、2015年5月に福岡の中学1年生が急性硬膜下血腫で、8月に横浜の高校1年生が熱中症で、昨年4月に仙台の高校3年生が頸椎脱臼骨折で死亡しています。
つまり、1983~2015年の33年間で、121人もの生徒が柔道事故で亡くなっているのです。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20160516-00057737/
(注:この121人には、学校外の柔道教室などの死亡事故や、大人の死亡事故、日本スポーツ振興センターに記録が載っていない1982年以前の犠牲者は含まれていません。)
そして見落としてならないのは、死亡事故0の年もその後も、重い障害の残る事故は発生し続けているということです。
けれど、死亡事故の発生が3年間0件であったのは、決して偶然ではありません。
柔道関係者、教育関係者、医療従事者、報道機関が警鐘を鳴らし、指導の現場が安全に留意してきたからにほかなりません。
当会も、様々な場で啓蒙活動を続けてきました。
柔道を学ぶ子どもが100人いれば、100通りの目標があるはずです。
世界の頂点を目指す子、生涯楽しく続けたい子、自他共栄の精神を身につけたい子、護身術を学びたい子―どんな目的であれ、これからずっと先に自分の人生を振り返った時、「やっていてよかった」と思える柔道を、全員に学ばせてあげたいのです。
これは、柔道界の安全指導のプロフェッショナル、教育界の安全指導のプロフェッショナルのお力抜きにしては成し得ません。
私どもは、「柔道事故0」を目指すのではなく、「柔道事故0となる社会の確立」を目指して、各界の方々と共に歩んで参ります。
1年先、5年、20年、50年先の子ども達が、安心して柔道を学べることを願って。

2014年7月30日:全日本柔道連盟への要望書(PDF)
2014年5月20日:柔道の刑事裁判で指導者に有罪判決が確定 当会からのメッセージ
2013年1月31日:「体罰」問題についてのメッセージ
2012年2月7日:文部科学省、民主党幹事長への要望書(PDF)
2010年7月8日:頻発する柔道事故に対しての緊急メッセージ

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